2004年 世界禁煙デー
「タバコの無い社会」連合は2004年の世界禁煙デーでは「タバコ規制と貧困問題」に焦点を合わせることを提案する。焦点をあわせる理由は以下に説明する。
イントロダクション
2003年5月にWHOは歴史的な一歩を踏み出した。タバコの販売、宣伝活動と消費に関する世界共通の規則を定めるために科学的な確実性と政治的な意志を結びつけるための5年間に及ぶ活動を完了し、WHO傘下の92の加盟国は満場一致でタバコ規制枠組み条約(FCTC)を採択した。条約を採択し調印することによりWHOの加盟国はタバコによりもたらされる公衆衛生問題に取り組む確固たる姿勢を表明し、タバコの価格と課税方法、タバコと貧困にかかわる問題、国境を越えた密輸、タバコの広告宣伝と販売促進、そして室内の空気を清浄にする権利といった重要な課題に本気で取り組む決意をした。実際、法律が公衆衛生上の利点をもたらすために準備されたのは今回が初めてではない。FCTCの論理はタバコの栽培と消費は貧困の度合いを高め、国家の資源を枯渇させ、防ぐことのできる500万人の死亡を引き起こしていると言ういくつかの研究結果を強調している。加盟ー国が条約の署名、批准、施行する次のステップにとって、このことは特別に重要である。これらのステップを遅らせるためのタバコ業界の役割は加盟国にとっての大切な情報である。
タバコと貧困問題
発展途上国は喫煙流行の攻撃にさらされることだろう。最近時タバコの消費は沢山の高収入の国々では減少しているが低収入、又は中くらいの収入の国では、特に男性の、タバコ消費量が大幅に増加している。年間に消費される5700十億本のタバコの60%近く、また75%の喫煙者は発展途上国にいる。このこと自体が包括的なタバコ規制を行う投資の正当性を証明している。しかしながら、タバコの使用とそれに伴う病気の負担は比例関係にあることに注目する必要がある。言葉を変えれば、貧しい人は豊かな人に比べてタバコ製品をより多く使う傾向があるということ。同じようなパターンが教育や、社会経済的な地位に関しても存在している。
死亡と病気に対するタバコの役割は充分に証明されている。タバコが貧困を増幅している道筋についてはそれほど注意が払われていない。家計の乏しい資源が食物や学校へ行かせ、栄養をとるといった欠くべからざるものに使われずにタバコ製品に使われてしまう時に蒙る打撃である。貧しい家庭がタバコに使うお金は(彼らの可処分所得の4〜5%)とても高い機会損失になり、乏しい資源を食物やその他の基本的な必需品からそらせてしまう。例えば中国では学校教育を受けていない個人は大学教育を受けている人の5.9倍タバコを吸う可能性が高いし、教育を受けていないブラジル人は小学校二年生までの教育を受けた成人の5倍の率でタバコを吸う。
発展途上国ではタバコ製品を買うために支出される家計支出の割合は大変高い。例えば、バングラデッシュでタバコ購入に使われる費用の2/3が代わりに食料に使われればそのお金は1000万人の人の栄養失調を救うことができる。インドでの新しい調査によれば、タバコの使用が子どもの栄養と健康を悪化させている。ブルガリアでは一人以上の喫煙者がいる低所得世帯は1995年の統計で世帯総収入の10.4%をタバコ製品に割いている。中国ミンハン地方で調査を受けた喫煙者はタバコに世帯収入の17%を使っていると答えている。国家だけでなく、開発局、資金提供者、多国間組織もこぞってタバコの使用は健康被害よりもずっとひどい貧困の被害をもたらしていると認識している。1999年、伝染病抑制機関、タバコ規制の政府と経済、世界銀行の三者は国々が包括的タバコ規制に乗り出すために取り組むべき経済的な側面を細かく調査した。その報告書は体系的かつ科学的に政治家達が行動を起こすことを阻害していた経済的損失へ向かう破局の日のシナリオを覆した。例えばタバコ税を上げるようなタバコの需要を減らす政策は長期的に見て圧倒的多数の国々で失業を増やすことはないし、高い税金が税収を減らすことも無い;むしろ中期的に見て税収は増える。要するに、そのような政策は経済を損なうことなく健康上の利益をもたらすのである。
タバコの栽培は環境を損なう。タバコ植物が土壌から栄養分を濾過し、殺虫剤や肥料による汚染を引き起こし、タバコ葉乾燥により森林破壊を招いている。乾燥により年間どれほどの森林と林が失われているかの最近の調査によれば調査対象の国々の森林破壊の5%ほどがタバコ栽培のためであった。児童労働がもうひとつの深刻な問題である。1990年代の終わり、ユニセフの調査によればタバコ生産に使用される児童労働が多くのタバコ生産国で広く行われている。
2004年世界禁煙デーは、貧困を生み出し、貧困を持続させる、搾取的な労働慣行に焦点を当てる
タバコ業界は事実を捻じ曲げている…タバコ枠組み条約の広がりを阻むために
2000年8月WHOの専門家委員会はWHOのFCTCのガイドラインや義務が世界的に受け入れられ、合法性を兼ね備えるにつれて、タバコ業界が反WHO活動を強化するだろうと結論付けた。この現実を認知しWHOの加盟国は満場一致でタバコ規制の透明性を求めるWHA5418決議を採択した。タバコ業界の行動様式を理解することはタバコ規制方針を成功させるために不可欠である。
最近毎月のようにタバコ業界が企業の社会的責任とそれをいかに発展させるかに光を当てた多くのキャンペーンを立ち上げてきた。常用者を毎秒殺している製品を販売することに加えてタバコ会社は彼ら自身が雇用を生み出し、農民を援助し、経済を活性化する、善良な企業市民であるという売込みをしている。タバコ会社はこれらの責任ある活動が社会的な不公正な行為を減じていると主張し、健康増進を推進し、教育施設を設置し、職業訓練やマネージメント訓練を提供し、余暇活動や文化活動を更に高めているのだと言っている。
音楽祭、フィルムフェスティバル、芸術祭への後援から障害のある人への教育プログラムの創造、環境保護など、良く練られ管理された慈善事業が企業の社会的責任(CSR)の名前の元で行われ、タバコ業界の事業計画の中で必須の要素となっている。主要な会社はケニヤで小企業の起業プログラムを開発し、南アフリカでは犯罪防止キャンペーンを立ち上げ、中国ではビジネス教育を行い、ベネズエラでは民俗文化の保存を、パキスタンでは医療措置と食糧援助を行っている。タバコ会社はまたちょっと上げただけでも、ケニヤ、マラウイ、ブラジルで共同体レベルの開発計画に参加している。企業市民としての原理とタバコ業界のあいだには矛盾がつき物である。
翻訳:西田季彦
※:WHO許可済み
原文はこちら