衆議院予算委員会会議録(平成10年3月19日)
「タバコの健康被害について」
衆議院予算委員会第二分科会より
○山本(孝)分化員
民生党の山本孝史でございます。よろしくお願い申し上げます。
今回の予算の中でたばこ特別税が創設をされまして、千二百億円余りの増収が予定されておいます。創設に至る経緯あるいはその使途の是非につきましては、農水委員会あるいは運輸委員会等で審議がなされると思いますので、そちらにゆだねさせていただきまして、本日は、たばこの健康被害について、たばこ事業法を所管しておられます大蔵省の皆さんに御質問させていただきたいと思います。
まず大臣にお伺いをさせていただきますが、大臣はたばこをお召しになりますのでそうか。あるいは、最近のたばこの健康被害という問題についての諸外国の取り組み、あるいは健康被害そのものについて、どのような御認識をお持ちでございましょうか、お聞かせいただきます。
○松永国務大臣
私は、二十二、三のときからずっとたばこを吸っております。ただ、節煙しておりますので、一日一五、六本でございまして、やめたいやめたいと思っても、一五,六本の人はなかなかやめられないそうですね。三十本以上吸っておればやめられるそうでありますけれども。節煙しながら吸っているものですから、やめられません。
ただ、いろいろなことは、新聞や書物やテレビなどで、たばこは健康によくないということを言われておりますけれども、もうこの年になってねと思って、そのまま吸い続けておるわけでございます。
○山本(孝)分科員
世間一般、テレビで言われているということは、今お言葉ですけれども、今諸外国で大変たばこに対する規制が厳しくなってきております。大臣ご自身が、その厳しくなってきていることをどう認識しておられるのか。大臣自身がたばこの健康被害という問題についてどう認識しておられるか。御自分が幾らお吸いになるかという話は聞いておりません。そういうところの御認識をお聞かせいただきたい。
○松永国務大臣
健康上よくないということで、諸外国では、解くに先進国の方が多いようでありますが、非常にたばこの健康被害を訴えて、そして健康を保持するためにはたばこはやめましょうというふうなことで大変努力されているというふうに思います。日本国内でも、たばこを吸えないような、そういうことが随分進んできたような感じいたします。
しかし、私自身は、やはりたばこを吸うことによって心が安まるという面もあるような気がするので、ある程度は許されるのではないかなと思うのでありますが、周囲に迷惑をかけることはできるだけ避けたい、こう思っています。
○山本(孝)分科員
おいおい重ねてお聞きをいたしますので、よろしくお願いします。
たばこには、御承知のとおり、健康被害に対する警告文が入ってございます。委員長、恐れ入りますが、少したばこを。私は吸いませんが。
○伊藤主査
どうぞ。
○山本(孝)分科員
これが日本のたばこでございます。今お手元にありますのも、同じ文句でございましょう。「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」これが大蔵省の事業法の中で決められているたばこの警告文章でございます。
外国の場合は大変に厳しい言葉になっております。外国のおたばこを手にされたことがあるかどうか私は存じ上げませんが、例えば今お借りをしてまいりました、これはカナダのたばこでございますが、こういうふうにパッケージのところに「スモーキング キャン キル ユー」、喫煙はあなたを殺すかもしれないというふうに書いてあります。カナダですから、英語とフランス語と両方で書いてあります。あるいはペンソンアンドヘッジですけれども、「シガレッツ コーズ キャンサー」、喫煙はがんになるだろうというふうにはっきり書いてございます。あるいは「スモーキング デュアリング プレグナンシー キャン ハーム ユア ベビー」、妊娠中の喫煙はあなたの赤ん坊に大変大きな害が及びますよというふうにはっきり書いてございます。
この書き方と、日本のJTさんがお書きになっている「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」というこの表現とは、私は随分差がある思いますが、大臣、ここにどのくらいの差があるというふうに御認識いただけますか。
○伏屋政府委員
今先生がおっしゃいましたように、諸外国ではまさに、アメリカの場合、総合的喫煙教育法、法律では明記してあります。ヨーロッパでも、今言われましたようなそれぞれ割と明快な注意表記がしてあります。
これはそれぞれの国の状況に応じて行われていることでありまして、我が国の場合、先ほど先生が言われましたとおり、たばこと社会等とのかかわりについての認識とか、それから喫煙と健康の関係についての医学的な所見等を踏まえまして、たばこ事業法に基づきまして、今先生の御指摘のようなたばこの注意表示を定めたり、また広告を行う際の指針を示す等の取り組みが行われてきております。
○山本(孝)分科員
日本の場合には日本の医学的所見がある。したがってそれに基づいて日本の表現はこういうふうにやわらかくなっているのだという理財局長の御答弁ですが、外国で、こんなにやわらかい表現をしている外国がありますか。今首を振っておられるから、はっきり言って下さい。外国でこんなにやわらかい表現をしている国がありますか。
○伏屋政府委員
正確に外国の表現を把握しているわけじゃございませんが、例えばヨーロッパの場合は、一般的な警告文言というのが一つあって、もう一つは、ローテーションで付加的な注意文言があるわけでございます。
その一般的な警告文言の方は、例えばイギリスの場合、たばこは著しく健康を損なう、それ以外に、がんの原因になりますとか、そういうローテーションの付加的注意表示もございます。その意味では、併用しているということだと思います。
○山本(孝)分科員
ごまかしてはいけません。日本だけでしょう、こんなふうにやわらかいのは。やわらかいのは日本だけですとはっきりおっしゃってください。首振っていても議事録には残らないから、ちゃんと言ってください。
○伏屋政府委員
日本の場合は、たばこ事業法によりまして、まさに先生おっしゃった注意文言で「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」という表示になってございます。
○山本(孝)分科員
私が聞いているのは、日本の表現はやわらかいでしょうとあなたの認識を聞いているのです。
○伏屋政府委員
個別の不可注意文言に比べれば、そういうことが言えるかと思います。
○山本(孝)分科員
厚生省からも来ていただいていますので、大蔵省としてはたばこの害を認められないという立場で今御発言が続いておりますので、国際的な基準というものをひとつ厚生省にお示しいただきたいと思います。
国際疾病分類において、禁煙が困難な喫煙習慣者はニコチン依存症という病気である。たばこには有害物質が含まれているということは世界の常識でございまして、日本の医学だけが違うわけじゃありません。これは世界の常識であるということを、厚生省、御答弁いただきたいと思います。
○高原説明員
御説明申し上げます。
たばこの煙に含まれておりますニコチンは依存症を引き起こす物質でございまして、世界保健機関、WHOによる疾病、傷害及び死因統計分類の第十版におきまして、精神作用物質使用による精神及び行動の傷害F一七が分類されておりまして、依存症候群F一七・二が発生するとされております。
また、国際的に広く用いられております米国精神医学会によります精神疾患の診断・統計マニュアル、DSM4版におきましても、物質関連傷害としてニコチン使用障害にニコチン依存305.10という分類がございます。
それから有害性の問題でございますが、たばこの煙には四千種以上の化学物質が含まれていると言われておりまして、そのうち、二百種以上が有害物質ではないか、そして、四十種以上の発ガン物質含まれているとされております。混合物としてのたばこの煙でございますが、世界保健機関、WHOの下部組織でございます国際がん研究機関、IARCによりまして、たばこの煙の混合物は最も危険性の高いグループ1、すなわちヒトに発ガン性ありというふうに分類されていると承知しております。
○山本(孝)分科員
大臣、今お聞きのとおり、世界の認識はこのようになっております。たばこには有害物質が含まれている。
したがって、端的にお伺いします。
大蔵省は有害物質を売っているという認識を、大臣、お持ちでございますか。事業法所管の大臣に聞いています。大臣の認識を。
○伏屋政府委員
その前にちょっと考え方を。
○山本(孝)分科員
申し訳ありません。イエスかノーで答えてください。端的に。
○伊藤主査
じゃ、端的にどうぞ、局長。
○伏屋政府委員
たばこ事業審議会から答申をいただいておりまして、喫煙と健康の関係では、喫煙の習慣がある者にとっては精神的には肯定的効果が認められるという一方で、他方、身体的健康に対してリスクになる可能性があるという答申をいただいておりまして、今後、研究が継続される必要がある、私ども大蔵相としても同様の考え方をとっているところでございます。
○山本(孝)分科員
世界の潮流を御存知の上で、日本だけがそう言い続けている。それを言い続けているのが大蔵省であるということは大変に大きな問題だと、私は最後にもう一回御指摘申し上げますけれども、先へ質問を急ぎますので、申しわけありません。
薬害エイズ事件が厚生省で起きたときに、薬務局という一つの局の中で、薬をつくる部門と安全性を確保する部門が同じ屋根の下にいるのは大変に問題があるということで、最終的には厚生省の機構改革というところまで行き着きました。
このたばこ事業法を大蔵省が御所管でいらっしゃいます。たばこ産業というものを一方に、真ん中に税収ということを考え、もう一つこちらに健康被害という公衆衛生の問題を考える。本来であれば厚生省が考えるような話、あるいは税金を上げるという大蔵省それ特有の話、産業政策という通産省が所管するような話、三つを同じ大蔵省という屋根の下で、一つの部局で、あるいは一つの法律で所管をしているということについて、大臣どういう御認識でいらっしゃいますか。
○伏屋政府委員
今先生が御指摘されましたように、確かに、たばこ事業法に基づきまして日本たばこ株式会社、JTについての私どもそういう関係もありますし、一方で、税制当局といたしまして、たばこに関する租税負担もお願いしております。他方、今大事な話として先生から御指摘のあります健康との関係につきましては厚生省でもいろいろ研究されておりますし、私どもも、そういう意味では、これは客観的にこれからも研究を続けていかなければならないと考えております。
○山本(孝)分科員
研究を続ける研究を続けるという話は余り答えになっていないので、今申し上げましたように、有害物質を売っているという認識をお持ちかどうかというのは、厚生省の御説明のとおりなんですね。それを事業法という中で所管をしておられる。
問題は、たばこ事業法の中にも広告規制だとか販売規制という項目が入っているのですね。すなわち、それは、明らかにたばこの健康被害に留意をしているちう部分を事業法は一種色合いとして喪っております。しかし、片方で、もともとは、たばこを売って税収を上げなければいけないという法律なのですね。売らなければ税が上がらない、売れば売れるほど健康は被害が進むというこのアンビバレントな心情を持ちながら、この一つの法律をやっていくということに対して、矛盾をお感じになりませんかというのが私の質問です。大臣、お聞きになっていて、いかがですか。
○伏屋政府委員
今先生が言われましたたばこの販売、広告の規制というのは、確かにそういう観点も含んでいると思います。従来から、大蔵省としたしましては、たばこ事業法に基づきましてたばこの販売広告規制等に取り組んでおります。
具体的には、例えばたばこの自動販売機につきましては、この事業法の施行規則に基づきまして、その設置場所が、未成年者の喫煙防止の観点から十分な管理監督が期しがたいと認められる場所である場合はたばこの小売販売業の許可をしないことができることとされております。
また、たばこの広告につきましては、たばこ事業法におきまして、広告が過度にわたることがないように努めなければならないと規定されておりまして、大蔵大臣は、製造たばこに係る広告を行う際の指針を定めておるわけでございます。
たばこ業界といたしましても、例えば未成年者の喫煙防止の徹底を図るために、平成8年4月から、深夜の時間帯においてはたばこ自動販売機の稼動を自主的に停止するとか、たばこ広告について、たばこ事業法及び広告を行う際の指針、今申し上げましたような指針を踏まえまして、自主基準を作成しまして、本年4月からはテレビ、ラジオ等によるたばこの広告を中止する予定でございます。
今後とも、今先生の言われましたような、法的な観点もありますが、大蔵省といたしましては、営業の自由等に配慮しながら、たばこ事業法に基づきまして、未成年者喫煙防止とか喫煙と健康の観点から、これは大事な観点でございますので、たばこの販売広告規制について適切に対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
○山本(孝)分科員
いろいろと広告規制だとか販売規制だとかをやっていくのだという認識を示されたわけですが、では、言葉をかえてお聞きします。
日本の喫煙人口といいましょうか、たばこを吸っている人を減らそうというそういうお気持ちはあるのですか、ないのですか。いや、これは簡単な話ですよ。気持ちがあるのかないのかと聞いているのです。そんな答弁集を見なければ答弁できない話じゃないでしょう。
○伏屋政府委員
私ども、先ほど言いました営業の自由ということも一方では配慮しなければなりませんので、ただ、おっしゃる健康の観点ということも大事でございますので、そこは、たばこの販売広告規制を適正にやっていくことによって両立を図っていきたいと考えております。
○山本(孝)分科員
営業の自由があって、喫煙に対してそれほど心配しないのであれば、広告規制とか販売規制をする必要はないのじゃないですか。矛盾していませんか。
○伏屋政府委員
先ほども先生の御質問にお答え申し上げましたが、喫煙と健康の関係につきましては、私ども、これは答申にもありますように、両面があると考えております。精神的には肯定的効果が認められる一方、身体的にはこれはやはりリスクとなる可能性がある。
それでは、心身全体の健康に対して、どの程度の喫煙がどのような影響を及ぼすかにつきましては、私どもとしては、現在そのすべてが明らかにされた状況ではないのではないか。したがって、先ほど言いましたように、この点につきましては、今後も研究が継続される必要があるというぐらいに考えているところでございます。
○山本(孝)分科員
世界の潮流にもっと日本人が敏感にならなければいけないと私は思います。
私、橋本総理は、日本がいかにニコチン天国であるかということを世界じゅうに公言して歩いている方だというふうに実は思っております。なぜならば、カンター通商代表と連邦政府の建物の中で、大臣御案内のとおりに、アメリカの連邦政府のビルは全館禁煙でございます。入り口から禁煙でございます。その中でカンターさんとお話をする際に、灰皿がないのかと言って、灰皿をカンターさんに探させたというのが日経新聞に出てました。
シンガポールに行かれた折に、あなたのために会議は屋内じゃなくて外でやることにしましたよと言われて、うれしいですねと言って、ぷかぷかとうまそうにたばこを吸ったという話があります。
今回のUSニューズ・アンド・ワールド・レポートにもたばこを吸っておられる写真が載っていて、そこについているキャプションは、日本はニコチン天国であるという話です。
日本だけが異質に見られている、世界の潮流と合わない、ハーモナイゼーションができない、いろいろなところでそういうことが言われていますけれども、たばこの喫煙規制なりあるいはこのの野方図な日本のたばこ天国というのは、世界の潮流から極めてかけ離れているのです。
そこのところを十分に認識していただいて、今の御答弁、この答弁、英訳されて、また世界じゅう回りますよ。日本の大蔵省はこういう話をしているのだという話になって、それおを所管しておられる大臣はいかにもルーズなのだという話になる、私はそこを逆に心配しているのです。そういう御認識を持っていただいきたいので、いくつか、さっきから一生懸命質問をしているわけであります。
今、営業の自由という点をおっしゃいましたけれども、許可基準が今回緩和されて、新規の店舗の開設が容易になるようになっています。これは規制緩和の流れに沿っているという御説明でございますが、これは、今回のたばこの値上げによって消費量が落ち込むであろうと見込まれる、その消費量の落ち込みをカバーするために売る場所をふやすという意図も含んでいるのでしょうか。
○伏屋政府委員
昭和60年にたばこの専売制度が廃止されたわけでございますが、専売制度の廃止に伴いまして、たばこの小売販売を自由にした場合に、流通質所に当時少なからぬ影響を与えて、また零細小売人の共倒れ等の深刻な社会問題を引き起こす可能性が大きいため、当時、既存の小売人の実態等にかんがみまして、激変を回避するという見地から、当分の間、小売販売業許可制が採用されたわけでございます。
一方、いずれにいたしましても、このたばこ小売販売に係る規制につきましては、閣議決定をされております政府の規制緩和推進計画に基づきまして、未成年者喫煙防止の社会的管理目的とか、零細小売業者に対する激変緩和等との適合性に関し、中長期的にそのあり方の検討をこれからも行ってまいりたいと考えております。
○山本(孝)分科員
端的に答えていただきたいのですね。
大蔵省が目先のことで仕事をしているとは全く思いません。規制緩和という流れがあって、その中で税収も上げていかなければいけないという思いもあって、いろいろ規制緩和の中で、販売をあげるというための規制緩和をするんだ、そこへ今回から税収を盛り込んだんだという、この両方の関係があるのではないですかというふうに私は聞いているのです。あるのですか、ないのですか。
○伏屋政府委員
政府の規制緩和推進計画というものは、平成7年から順次毎年進めているものでございまして、まさに先生が言われました、やはり長中期的にこの流れの中で私どもこの計画を推進しているという点で御理解いただきたいと思います。
○山本(孝)分科員
お利口な大蔵省のことだから、先を見越して、先に咲きにと手を打ってやっているんだろうなというふうに私は思っているわけであります。
もう一つ、お伺いします。
たばこ事業法の第二十二条に、たばこの小売業については、当分の間、大蔵大臣の許可を受けるというふうに、当分の間という言葉が入っているわけです。
当分の間なんですが、そうすると、これから先、これは、当分の間という言葉が落ちて、これから先もずっとたばこの販売は許可制ということになるのか。あるいは、この二十二条が全部がすべて落ちてしまって、許可制ではなくて自由販売制になるのか。この当分の間というのは、あるいはここを含むこの条文は、これから先どういうふうに動いていくのでしょうか。どういうふうなお考えでしょうか。
○伏屋政府委員
委員が御指摘のとおり、たばこ事業法第二十二条では、製造たばこの小売販売を業として行おうとする者は、当分の間、その製造たばこに係る営業所ごとに大蔵大臣の許可を受けなければならないというぐあいに書いてございまして、先ほど申し上げました、昭和60年の専売制度の廃止の際に、当分の間、小売販売業許可制が採用されたわけでございます。
その意味では、本来の小売販売自由という考え方と、当分の間激変を回避するという意味での小売販売業許可制の採用ということが両立されているわけでございます。
では、これからの流れとしてはということになりますと、一方で、先ほど言いましたように、順次、閣議決定に基づいて政府の規制緩和推進計画を勧めておるわけでございます。その意味で、全体の中で、今後の扱いにつきましては、中長期的にそのあり方の検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。
○山本(孝)分科員
経済的な規制というのはできるだけ外していった方がいい、それはそのとおりだと思います。しかし、必要な社会的な規制は残していかなければいけない、これは、大臣、同じお考えだと思うのですね。
そういう意味において、今るるこの時間申し上げておりますように、たばこには大変有害性がある、世界の潮流はこうであります。日本は大変ルーズな国であるというふうに思われている。そういうことも踏まえながら、このたばこ事業法というものの中で、今、理財局長の御答弁は、規制緩和という流れの中なんだから当然その方向に行くだろうという御答弁なんですけれども、そういうことでいいのでしょうか。
今後ともに広告規制あるいは販売規制を強化する方向に行くべきだとお考えなのか。あるいは、規制緩和という流れの中で、もっとルーズな方向に行った方がいいというお考えなのか。大臣はどちらのお立場ですか。
○松永国務大臣
これは、私個人の考え方を述べさせていただきます。
今委員仰せのとおり、経済的規制というものは、これはできるだけ緩和ないし撤廃までして、そして競争を激化することによって進歩を図っていく、私はそう考えます。
しかし、社会的規制という規制、例えば酒などもそうですね、青少年に酒を飲ませてはいかぬわけでありますから、その見地からすれば、あちらこちら酒は自由に売れるなどということについては、私は個人としては賛成いたしかねる。しかし、その分野でも、今、規制緩和規制緩和という時代なものですから、やや規制が緩和されるような傾向が出てきているのですけれども、私は個人としては賛成いたしかねる面がある。
たばこも、そういう意味では、わざわざ吸い過ぎはだめですよと書いておりながら売らなければならぬという商品ですから。また、未成年もいかぬわけでしょう。そういうことを考えると、自由化して、さ売りなさいさあ売りなさいというのは、私は余り賛成ではありません。
やはり、この規制というものは、人々の健康を守る、あるいは未成年者にはできるだけ吸う機会がないようにする、青少年の保護という考え方もあるでしょう、そういう面から、やはりある程度の規制はあるべきだ、これは私の個人の考え方ですけれども、そう思っております。
○山本(孝)分科員
これは、どの立場に立つかによって随分違いまして、小売の、売っておられる方たちは規制がきつい方がいいとおっしゃっているのですね、新規参入を省く意味では。あるいは、売上が落ちるという方たちは、労働組合まで含めて一斉に、専売の労組も実は値上げに反対しておられます、値上げすると売れなくなるからというので。
だから、それぞれのお立場によっておっしゃっていることが違うのだけれども、今最後に大臣がおっしゃたように、やはり健康という点で、どういうふうなき制をしていくのかというのは、規制緩和の一般論に落とし込めないで、たばこという有害物質なんですというところにきちっと着目していただいて、そういう対応をしていただきたいわけですね。
最後に、もう一度お尋ねしますけれども、その意味合いで、大蔵省が、たばこ事業法というものの中で、税収を上げるということを片っ方の頭の片隅に置きながら、片っ方で公衆衛生上の健康被害も考えなければいけない。この間にはどう考えても矛盾があるわけで、たばこ事業法そのものの見直し、あるいは、たばこの規制かかわる部分は大蔵省は手を離すということをお考えになってはいかがというふうに思うのですが、検討してみてはいただけないでしょうか。大臣、いかかでしょう。
○伏屋政府委員
お答え申し上げます。
たばこ事業法に基づきまして、たばこ事業全体につきまして私ども行政として関与をしていく面と、それから、今の健康につきましては、やはりこれは今後とも引き続き大事な問題でございますので、研究が継続される必要があると考えております。
そういう中にありまして、たばこの、特に健康面からの注意表示とか広告を行う際の指針等につきましては、今後ともきちっと取り組んでまいりたいと考えております。
○山本(孝)分科員
時間が来ましたので終わりますが、たばこはいい面もあるしリスクもある、しかし、リスクは全身的なリスクかどうかわからないという答弁は、ぜひ公式の文書で訂正をしていただきたいと思います。日本の担当者がそういう発言をしたというのは日本の恥じになりますという意味で、再度お願いを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
以上、衆議院予算委員会 第二分科会議事録
(平成十年三月十九日)より
目白学園女子短期大学生活化学科 シンポジウム資料より(出典:「我ら煙を断つ」第30号 広島禁煙協議会より)